初めて見る花+初めて聞く話~国際バラとガーデニングショウ

 「このバラも、この品種も展示してください!」「ようやく咲いたので持ってきました」。毎日増え続ける品種。現在開催中の国際バラとガーデニングショウ(西武ドーム)、「新しいバラの風」コーナーで展示させていただく品種のことです。

 実際には初めてみる花、はじめて聞いた花、そんな花ばかり。結局、新品種100品種・本当の初お目見え品種はその4分の1くらいになっていそうです。

 ステージの講演では、育種家の皆さまとお話しさせていただいています。13日(河本純子さん・木村卓功さん)、14日(田頭数蔵さん・河合伸志さん)のときは、「えっ、そんなの聞いたコトが無い」というようなヒ・ミ・ツのお話しも数々。17日の寺西菊雄さん・武内俊介さんのときも…と、ついつい期待してしまいます。
 
 イベントは、16日(木)は展示入れ替え日でオヤスミ。17日(木)から再開し20日の日曜日まで開催しています。


 うずめ国バラ

 育種家のコーナーで展示中の、’うずめ’(寺西さん作出)。
 
 数多の本イベント初お披露目品種の中でも、「最新クリエイティブ大賞」をさしあげたいくらいの、新奇性&インパクトです。
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国際バラとガーデニングショウで「自分のバラに」出逢う

 「A品種、バッチリ開花します」「B品種は後半なら大丈夫でしょう」。
 こんな会話がギリギリ直前まで飛び交います。国際バラとガーデニングショウ「新しいバラの風」コーナーで、展示させていただく品種のコトです。

 自然開花と違って、本来開花時期が違う品種を開花調整して、同じタイミングで咲かせて一堂に揃えるワケですから、バラ園・種苗会社の栽培方の方も、間に入ってご調整いただく業務の方もたいへんです。
 ありがとうございます。
 
 展示品種の確認中、初めて花名を耳にする品種も登場! 残念ながら開花が間に合わない品種も…。あっ、また品種が変わった。苦労をお察しください。その都度リストに記帳し配置しなおしますが、アトは設営日のエイヤッの現場合わせです。

 コーナーでは、New Rosesの昨秋版および2012春版で発表の新品種を中心に、今回はブランドごとに展示。日本の育種家の作品展示では、表現意欲に充ち溢れる家常(いえつね)善光デザイナー(hoocica)がブランドイメージのイラストを描いてくれました。家常デザイナーは、New Rosesの創刊以来、ずーっとデザイン・レイアウトを行ってくれています。


 さて私関係だけですが、ステージ出演等のイベント予定をお知らせします。

[ステージ]
5月13日(日)11:30~ 美の創造者たち①河本純子さん・木村卓功さんと
5月14日(月)13:00~ 美の創造者たち②田頭数蔵さん・河合伸志さんと
5月17日(木)11:30~ 美の創造者たち③寺西菊雄さん・武内俊介さんと

[ガーデントーク]
5月18日(金)16:00~16:30 美の創造者たち①育種家のコーナーで
        16:30~    美の創造者たち②「新しいバラの風」コーナーで
        …②は昨年も実施しましたがロザリアン・ゲスト多数の予定。スペシャルゲストも

 実際の花をご覧になって、話しを聞いていただき、「自分のバラ」を見つけてください。


 なおイベント期間中の5月15日(火)、 NHKラジオ第一「ラジオ深夜便」須磨佳津江さんアンカーによる「ヨーロッパのバラから日本のバラへ」放送に登場させていただきます。夜の1時ごろからです。



オールドブラッシュ(シャドー)

 写真は「シャドー・ストライプ」に咲いた‘オールド ブラッシュ’。自分自身初めて見る新品種の花はもとより、春一番花の通常と変わった表情を見られることは、とても楽しみです。
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日本のバラに季節を感じる その2

花にあらわれた「みやび」を季節のうつろいの中、花結いで表現
嵯峨野の方の秋の空~かおりかざり&花見小路(はなみこうじ)


…さこそ心も澄み渡る 名月に鞭を当てて 駒を早め急がん
…峰の嵐か 松風か それかあらぬか たずぬる人の 琴の音か
楽は 何ぞと聞きたれば 夫を想いて 恋うる名の 想夫恋(そうふれん)なるぞ うれしき

 名月のごとく澄んだ調子の美文が続く、謡曲『小督(こごう)』の一節。時の権力者・平清盛を恐れ嵯峨野に身をひそめた高倉天皇寵愛の小督局の物語。帝から命じられた仲国は琴の音を頼りに…NewRoses2012で「嵐山で撮影しよう…」と小山内さんが言ったときから、このイメージが頭の中を巡っていました。

 まず花結い師TAKAYAとロケハン。彼とは何度めでしょう。「渡月橋を入れると観光ガイドになるし…」「舟の上からは危ないし…」「川の反対側からだと分かりづらいし…」。確か嵐山には小督菴があったはず…とその前に行きました。まぁここで大丈夫かなっ。打ち合わせの喫茶店での栗と抹茶アイスのパフェの味が決定してくれました。
 
 花は京阪園芸F&Gローズ。’てまり’の枝変わり’花見小路’は早くから決まっていたものの、もう一つの’かおりかざり’は撮影の直前に。両方使いましょう! 撮影日は観光客が最も少ない月曜のAMに設定。紅葉は-「その頃、盛りでしょう」。

 撮影当日、ときは師走も5日。Rose Farm KEIJIからの花を見る。‘花見小路’いかにも小山内さん好みのかわいい花! ‘かおりかざり’びみょうな色、良い香り。スムーズに花結い。出発。祇園は小雨、大丈夫かな…。嵐山到着、晴れ。紅葉、少し早いけどまあまあ。人出、少し多い…でも関係者カメラマンの方が多い?感じ。いずれも昨夏のパリ・モンマルトルの丘の撮影を経験したので難なく。カメラマンはTAKAYA自身。モデルの吉武遥さんはさすがプロ。すぐ表情が決まります。お二人とも、とてもよく呼吸が合っていました。

 さてTAKAYAオフィスに戻り、花をあらためてゆっくり見て撮影。‘花見小路’(上)は橋の欄干に、‘かおりかざり’(下)は帯の上に置いて。

花見小路2011冬

かおりかざり2011冬


 昼食。遥さんに小督局の話しをして詩作を依頼。「嵯峨野の秋 琴の音に人を待つ」。その後、意味を十分そしゃくし置き換えた深い詩が出来上がってきました。

 本をご覧になった方からは「撮影場所は嵐山でしょっ!」。「モデルさんキレイ」「花色がとても良い感じ」「はっとしました」「次のコラボが楽しみ」などのご感想。編集者がほっとするときです。

 海外雑誌で最近とても人気のTAKAYA&遥のフラワーアートユニットBononah(ボノナー)。12日から開催の国際バラとガーデニングショウ、17日(木)13:00~、パフォーマンスをステージで見ることができます。
 また‘花見小路’と‘かおりかざり’は、「F&Gローズで和と洋のライフスタイルを楽しむ」コーナーおよび「新しいバラの風」コーナーで、ご覧いただけます。
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日本のバラに季節を感じる その1

「乙な」茶室で「乙な」バラ

 ‘グリーン スリーブス’に似ている?…そう思っただけで目が濁っていたかもしれません。表面だけを見て、花を「見て」いなかったからです。
 その品種は‘おとひめ’。ピンク色からとき色、そして薄緑に変わる波状弁の半八重咲きの少し大き目の花。河本バラ園の新作で、1年前原宿ルセーヌ館のイベントで、河本純子さんが試作品として持ってこられました。まだ名前はありませんでした。

おとひめ茶室

 咲き進んで緑になるバラはそう多くありません。‘グリーン スリーブス’は10年以上前にほんの少し紹介された直立性のハークネスのFL。白が混じります。そのほかデルバールの‘ピュル カプリス’も最後は緑に。‘アクロポリス ロマンティカ’(メイアン)もそうなります。

 でもこの花、ちょっと違う。じっと見ると、波打つ花弁の色彩は、ロココ時代の画家・フラゴナールの「ヴィーナス(愛)の目覚め」という絵画のようでもありました。イベントに参加したある方は「メリーゴーランドのよう」と言い、とても気に入った様子。

 岐阜に河本バラ園をお訪ねした際に、折から咲いていた花をもう一度見せていただき、その話しをしました。「決して一般の方向けとは思っていません。芸術を愛するような方には好まれるでしょう」と河本純子さん。そして命名をご依頼いただきました。う~ん、どうしよう。

 そのうちに、岐阜県可児市・花フェスタ記念公園にある立派な茶室をみせていただく機会がありました。とても凝ったつくりで、撮影にも使わせていただけるとのこと。茶室でバラ…茶花には確かモッコウしか使えなかったのでは…とも考えましたが、茶室の名は「織部庵(おりべあん)」。岐阜出身で漫画『へうげもの』でも有名になった古田織部は、自由な発想の人。では、このバラを活けて撮影しよう! と思い立ち、各所に調整しました。

 古田織部の美意識を表すものは格式ばった「甲(こう)」ではなく、「乙(おつ)」。十干(じっかん)の甲乙丙丁戊己庚辛壬癸の2番目の「乙」で、「これ乙だねっ!」の乙です。…一味違う「乙な」バラ! 織部も花も岐阜県発。木曽川の水面の深い緑、堤に咲き誇る桜の景色が思い浮かびました。色彩の波間に漂うよう…この花の名は‘おとひめ’しか無いと思い、河本さんにそう申し上げたところ、その名で決定しました。

 そして撮影。打ち合わせで花入れはコレ、茶掛けは?…迷わず「柳緑花紅(やなぎはみどり はなはくれない)」を選びました。「どういう意味?」と関係者。「ありのままということです」。New Roses 誌面の見出しはその言葉を本歌として「花は緑 花は紅(くれない)」にしました。

 一つの花がピンク、とき色、薄緑色に変わる植物の不思議は、天然自然のありのままの姿の表れ。季節の変化を凝縮したようで、ときの流れをとどめます。
 バラの育種上から言うと、色変わりを最大限に生かした、バラ育種の最先端の一つのあらわれです。

‘おとひめ’は、12日からの第14回国際バラとガーデニングショウの「新しいバラの風」コーナーで初お披露目の予定です。



 なお河本バラ園もう一つの新作‘はつね’は、7日までのNAGOYAガーデニングショウ(ジェイアール名古屋タカシマヤ)でお披露目中です。とてもきれいに咲いています。




 いずれも、実際に植わった株の花は、花フェスタ記念公園のNew Rosesガーデンでご覧いただけます。
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New Roses 2012発刊

 10、20、30。まだある。40、50…60! 何回数えても、同じ数。
 『New Roses 2012』ではじめて紹介させていただいた品種の数のコトです。例年は30くらいなのに…。

 最近の新品種ラッシュに「何が何だか分からなくなってしまいました」とは、バラを自らも栽培し、バラをよく理解しているある編集者。分かっている方でもそうなのに、一般愛好者の方はなおさらでしょう。

 誌面には限りがあります。そこで2012年版の「ローズブランドコレクション」では、新品種を中心にできるだけ分かりやすくていねいに取り上げようと、掲載数を減らそう(すなわち各品種写真を大き目に掲載し、ていねいに説明できます)と各社にご理解を求め、結果的に従来の約7割弱にあたる218品種としました。

 ところが初発表品種のこの数! この春発表の最新品種は同時期にほかの雑誌や書籍でも発表された分も加えると、例年より多い80品種にものぼります。

 初発表品種が多くなると本の価値は上がるかもしれませんが実は制作上のネックも。スペックが決まるのもギリギリ…。イベントでお披露目するための調整も。中には新たに導入される2ブランド、ご依頼により命名させていただいた10品種も含まれています。

 今回誌面で強調させていただいたのは日本のバラ。海外のバラも含めて年々進化し、新しい「美のかたち」が次々と生まれてきています。新たに生まれた品種は、育種家のいまの感性のあらわれであるとともに、バラ各社の生産・販売に携わる方々の想いもぎっしり詰まっています。

 バラの花は、香りはもちろんのこと実際に見て、育ててみないと分かりません。この本をご覧になって、イベントや小売店の店頭で実際に花の雰囲気に触れていただき、その中からぜひ「自分のバラ」をみつけてください。


New Roses 2012表紙

表紙は昨春、外で自然開花の‘あおい’です。真ん中に茶色をにじませ、オーラを放っていました。


【New Roses 2012の主な内容】

●ローズブランドコレクション
【日本】寺西菊雄/確実園本園/河本バラ園/京成バラ園芸/京阪園芸/コマツガーデン/タキイ種苗/花ごころ/ばら工房パティオローズ/バラの家/広島バラ園/ペレニアル【イギリス】デビッド・オースチン/ハークネス/フライヤー/ワーナー/ビールス【アメリカ】ウィークス【フランス】オラール/ギヨー/デルバール/ドリュ/メイアン【ドイツ】コルデス/タンタウ【ベルギー】レンズ 

●花フェスタ記念公園にNew Rosesガーデンオープン

●日本のバラに季節を感じる
・色が変わる‘おとひめ’(河本オリジナル)を茶花に~花フェスタ記念公園茶室「織部庵」
・みやびな花‘花見小路(はなみこうじ)’‘かおりかざり’(京阪園芸F&Gローズ)をヘッドドレスに 花結い師TAKAYA・吉武遥~京都・嵐山

●暮らし・栽培 バラの楽しみを広げる
有島薫/小山内健/木村卓功/松尾正晃/大野耕生

●全国主要小売店12店ローズアドバイザーの作出国別おすすめのバラ

A4L判、本文88Pオールカラー、定価 1,260円(税込)。
インターネット、書店、主要バラ小売店などでお求めください。

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玉置 一裕 (たまおき・かずひろ)
産經新聞メディックス勤務。ローズブランドコレクション『New Roses』を編集。
愛知県出身、射手座のO型。園芸歴37年・バラ栽培歴32年で愛知の私宅でバラ約400種類を栽培。


「バラは『育種家が自然を相手に創り上げた、クリエイティブな作品』と捉えています。歴史が古いだけに生活や芸術・文学との関わりも深く、栽培するだけでない楽しみ方がたくさんありますよ」